熱処理

時効硬化熱処理後のテンパーカラー(大気炉)
Temper Color after Age Hardening

析出硬化系ステンレスの時効硬化熱処理は480℃付近の温度帯で熱処理を実施します。

一般的には電気炉(大気熱処理)での処理が多く、テンパーカラー(薄い酸化スケール層)が付着します。

酸化スケール層は厚いほど耐食性にも影響すること、また製品の外観が変色することでの不具合などを考慮するとできるだけ酸化スケール層が薄い方が望ましいです(テンパーカラーが濃いほど、酸化スケール層が厚い)。

今回、析出硬化型ステンレスおよび各種材質のテンパーカラーの比較試験を調査しましたのでご報告致します。

1. 試験片

  1. 材質:シリコロイA2、シリコロイXVI、シリコロイB2、シリコロイD、SUS630、SUS440C、SUS420J2、SUS303、SUS304、SUS316L、SUS430、SKD11、SKD61、マルエージング鋼、ステライトNo6
  2. 丸棒形状:φ25~30mm×10mm
  3. 時効硬化熱処理条件:450、480、500、650、700、740℃×6hour/AC、熱処理:電気炉(大気熱処理)
  4. 熱処理:時効硬化熱処理(480℃×6hr/AC)
  5. 熱処理:電気炉(大気熱処理)

2. 試験方法

熱処理前後の試験片の外観検査

3 まとめ

  1. 析出硬化系の比較:酸化スケール層が薄い ← シリコロイXVI < シリコロイA2 < SUS630 < マルエージング鋼
  2. 焼入型の比較:酸化スケール層が薄い ← SUS420J2 < SUS440C < SKD11 < SKD61
  3. オーステナイト系の比較:酸化スケール層が薄い ← シリコロイD < SUS316L、SUS304 < SUS303

    ※C量が多い鋼種ほど酸化しやすく、またSi、Cr量が多い鋼種ほど酸化しにくい傾向がある。

4. 熱処理前後の外観

熱処理前後の外観
Table.1熱処理前後の外観