特性

DLCコーティングの耐食性:塩水腐食試験
Corrosion Resistance of DLC Coating

本ページは代表的なステンレスや特殊鋼を基材とし、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングを実施した場合の耐食性をまとめたものです。基本的には基材の影響が大きい傾向があります。耐食性が要求される場合、基材の選択のご参考にして下さい。

1. 試験方法

  1. 試験溶液:5.0%NaCl(塩水)溶液を調整。
  2. 試験片:各材質(表参照)を各熱処理条件条件にて作製。
    表面粗さを耐水研磨紙で#1200、バフ研磨(アルミナ0.05μm)で調整し、アセトンで脱脂処理を行う。
    表面粗度:Ra0.02μm以下
  3. 各試験片にDLC膜を成膜。
  4. 各材質を5.0%NaCに室温で286時間浸漬し、精密天秤により試験前後の重量変化を測定・腐食度を求める

2. 試験片(基材硬度)

table.1
No 記号 鋼種名 硬度HV 熱処理条件
01 SUS304 SUS304 213.8 固溶化熱処理(1050℃/急冷)
02 SUS316L SUS316L 212.7 固溶化熱処理(1050℃/急冷)
03 SUS430 SUS430 183.8 焼なまし(780℃/AC)
04 SUS420J2 SUS420J2 565.1 焼入・焼もどし(1050℃/ガス冷、200℃×2hr/AC)
05 SUS440C SUS440C 656.2 焼入・焼もどし(1030℃×3hr/ガス冷、180℃×3hr/AC)
06 SUS630-AG SUS630 449.1 時効硬化熱処理(H900:480℃×6hr/AC)
07 SL-A2-AG シリコロイA2 603.2 時効硬化熱処理(480℃×6hr/AC)
08 SL-XVI-AG シリコロイXVI 680.2 時効硬化熱処理(450℃×8hr/AC)
09 SL-XVI-DAG シリコロイXVI 665.8 二段時効処理(200℃×2hr/AC+450℃×8hr/AC)
10 SL-XVI-TAG シリコロイXVI 675.4 三段時効処理(200℃×2hr/AC+450℃×8hr/AC+200℃×2hr/AC)
11 マルエージング鋼 マルエージング鋼 568.1 時効硬化熱処理(480℃×6hr/AC)
12 SKD11 SKD11 601.3 焼入・焼もどし(1030℃×3hr/ガス冷、510℃×7hr/ガス冷、510℃×6hr/ガス冷)
13 SKD61 SKD61 599.2 焼入・焼もどし(1030℃×3hr/ガス冷、515℃×7hr/ガス冷、560℃×4hr/ガス冷)

3. 試験結果

5.0%NaCl(塩水)浸漬試験
Fig.15.0%NaCl(塩水)浸漬試験
5.0%NaCl(塩水)浸漬試験(耐食性順)
Fig.25.0%NaCl(塩水)浸漬試験(耐食性順)
table.2
No 記号 腐食減量
mg/m2・hr
硬度HV
01 SUS304 0.502161 213.8
02 SUS316L 0.000000 212.7
03 SUS430 3.929148 183.8
04 SUS420J2 10.155629 565.1
05 SUS440C 13.007235 656.2
06 SUS630-AG 0.199050 449.1
07 SL-A2-AG 0.000000 603.2
08 SL-XVI-AG 0.147655 680.2
09 SL-XVI-DAG 0.470044 665.8
10 SL-XVI-TAG 0.882008 675.4
11 マルエージング鋼 13.896427 568.1
12 SKD11 13.707212 601.3
13 SKD61 13.892070 599.2

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