熱処理

高周波熱処理:精密高周波熱処理を用いた局部高硬度化技術
Fine Induction Heating

析出硬化系シリコロイは用途に応じて局部的な高硬度化が可能です。硬度と靭性の両立が必要な場合、局部的に固溶化熱処理を行い、時効硬化熱処理を実施することで必要な箇所のみを高硬度化可能です。 

析出硬化系シリコロイは高周波焼入れとは異なり、高周波熱処理後には高硬度化しません。高周波熱処理(固溶化)後に十分加工ができるため設計の自由度が高くなります。

1. 硬度と衝撃値の関係

硬度と衝撃値(靭性)の関係
Fig.1硬度と衝撃値(靭性)の関係

2. 局部高硬度化のイメージおよび製品例

局部高硬度化の一例(イメージ図)
Fig.2局部高硬度化の一例(イメージ図)
蒸気安全弁用弁棒、橋梁用支承ローラー
Photo.1〜2

3. 高周波熱処理の試験例

高周波熱処理+時効硬化熱処理の硬化深度
Fig.3高周波熱処理+時効硬化熱処理の硬化深度
高周波熱処理条件依存性
Fig.4高周波熱処理条件依存性
時効硬化熱処理時間と硬度の関係
Fig.5時効硬化熱処理時間と硬度の関係
高周波熱処理条件依存性
Fig.6高周波熱処理条件依存性

4. 加工プロセスの一例

table.1
基本プロセス 熱処条件例 硬度
01.素材
  • 固溶化熱処理 or 過時効処理
  • シリコロイA2:HRC33~37
  • シリコロイXVI:HRC36~40
02.過時効処理
  • 650℃×6~8hr/AC
  • シリコロイA2:HRC34~37
  • シリコロイXVI:HRC36~40
03.一次加工    
04.高周波熱処理
  • 局部固溶化熱処理(1000~1100℃/急冷)
  • シリコロイA2:HRC33~37
  • シリコロイXVI:HRC36~40

    *切削加工可能

05.二次加工    
06.時効硬化熱処理
  • シリコロイA2の場合:480℃±10℃×6~8hr/AC
  • シリコロイXVIの場合:200℃×2hr/AC、常温に冷却、460℃±10℃×8~12hr/AC
  • シリコロイA2:HRC48~52
  • シリコロイXVI:HRC54~58
07.仕上加工    

5. 精密高周波熱処理および複合表面処理

高周波熱処理+時効硬化熱処理の硬化深度
Fig.7複合処理後の硬化深度
高周波熱処理条件依存性
Fig.8硬度の傾斜機能性