熱処理 複合表面処理PVD Ceramic Coating×Silicolloy 表面改質法は高性能・高機能皮膜の発展が著しく、近年は様々な表面処理法を組み合わせて互いの短所を補う 『複合表面処理』に移行してきています。 複合表面処理の処理温度は約500℃前後であるため、基材としては焼もどし温度が高い高速度工具鋼(SKH,ダイス鋼(SKD),プリハードン鋼などが一般的です。しかしながら耐食性と硬度が同時に要求される用途では、基材の耐食性の課題、耐食性が高い基材(SUS304,SUS316L)では硬度が低いことによる密着性の課題が否めません。 一方、析出硬化型シリコロイは金属素材の分野では硬度と耐食性のバランンスに優れるものの、用途によっては 機能性不足という課題があります。 析出硬化型シリコロイは450~500℃の時効硬化熱処理でHV570~670程度に高硬度化し、寸法変化も非常に少ないことが特徴であるため、『複合表面処理』の基材として非常に有効性が高い素材です。 メリット セラミックコーディング後の特性 1. メリット 析出硬化型シリコロイへ高機能性を付加でき、悪環境下への対応が可能 基材の耐食性・硬度のバランスが高いため、傾斜機能化し高機能皮膜の安定化につながる 基材を傾斜機能化することで、セラミック製品や超硬製品の靭性の課題を解決 新製品開発やトータルコストダウンに貢献 Photo.1セラミックコーティング後の外観 2. セラミックコーディング後の特性 table.1 処理名 色調 硬度 摩擦係数 膜厚 耐摩耗性 耐食性 耐焼付き性 酸化温度 CrN 銀灰色 HV2000~2200 0.25~0.30 3.0±1μm程度 ◎ ◎ ◎ 700℃ TiN 金色 HV2000~2500 0.35~0.45 3.0±1μm程度 ○ ○ ○ 500℃ DLC-Hard 黒色 HV2500~3500 0.10~0.20 0.5~1.5μm程度 ○ ◎ ◎ 300℃ DLC-Soft 黒色 HV1000~2000 0.10~0.15 1.0~3.0μm程度 ◎ ◎ ◎ 250℃ 低温CrN 銀色 HV1800 0.29~0.65 2.0~5.0μm程度 ◎ ◎ ◎ 500℃ Cr系複合皮膜 黒灰色 HV3000~3500 0.35~0.55 3.0±1μm程度 ◎ ◎ ◎ 1100℃ 上記はコーティングの一例です。 二層構造にすることで膜厚を付加することも可能です。 DLCは低摩擦係数が特徴ですが、密着性が低い傾向がありますのでご注意下さい。 Fig.1複合表面処理のイメージ Fig.2硬度の傾斜機能性 上記の複合表面処理は一例です。 製品の形状によっては処理ができない場合もありますのでご注意下さい。 複合表面処理の組み合わせ、中間層の有無、基材の熱処理等については、用途によって改めて検討されることをお薦めします。 関連情報 低温窒化 特殊浸炭 表面改質の耐食性:純水・塩水腐食試験 DLCコーティングの耐食性:塩水腐食試験 関連事例 関連事例はありません。 関連Q&A 関連Q&Aはありません。 関連タグ CrN, DLC, TiN, ステンレス, セラミックスコーティング, ダイヤモンドライクカーボン, 低温窒化, 同時時効, 基材, 時効硬化, 析出硬化, 窒化クロム, 窒化チタン, 表面処理, 複合表面処理 ページランキング 硬度換算表 SUS440C SUS630 SUS316L SUS420J2