鋼種

SUS420J2
SUS420J2

SUS420J2はマルテンサイト系ステンレスで、熱処理(焼入・焼もどし)により、高強度、高硬度を得られます。

耐食性は一般の焼入鋼よりは優秀ですが、オーステナイト系ステンレス、フェライト系ステンレスおよび析出硬化系ステンレスよりは炭素(C)含有量が高いため劣ります。

1.化学成分の一例

(wt%)

table.1
成分 C Si Mn P S Ni Cr Fe
規格 0.26-
0.40
≤1.00 ≤1.00 Max
0.040
Max
0.030
≤0.60 12.00-
14.00
Bal.
成績例 0.36 0.49 0.42 0.032 0.015 0.19 12.60
  • 化学成分は一例です。

2.物理的性質の一例

table.2
熱処理
状態
密度
g/cm3
比熱
(cal/g℃)
比電気抵抗
(μΩcm)
線熱膨張係数
×10-6/℃
熱伝導率
(W/mK)
縦弾性係数
(GPa)
0~100℃ 20℃ 0~
100℃
0~
540℃
100℃
焼なまし状態 7.78 0.11 57 10.3 11.7 25.1 204

3.機械的性質

3.1 機械的性質の規格
table.3
  熱処理 引張強度
(N/mm2
耐力
(N/mm2
伸び
(%)
硬度
(HB)
規格 焼なまし 540以上 225以上 18以上 235以下
(HRC22)
3.2 機械的性質の一例
table.4
  熱処理 引張強度
(N/mm2
耐力
(N/mm2
伸び
(%)
絞り
(%)
硬度
(HB)
規格 焼入:920-980℃油冷
焼もどし:
  600-750℃急冷
735以上 539以上 12以上 40以上 217以上
(HRC18)
一例 焼入:950℃
焼もどし:700℃
900 664 23 59 277
(HRC29)
  • 機械的性質は一例です。
3.3 焼入れ硬さ
table.5
焼入温度 950℃ 1000℃ 1050℃ 1100℃ 1150℃
硬度(HRC) 50 53 55 53 52
3.4 焼もどし硬さ
table.6
焼もどし
温度
焼入状態 200℃ 300℃ 400℃ 500℃ 600℃ 700℃
硬度(HRC) 52 49 48 48 47 32 20

4.顕微鏡組織

焼入れ(1050℃/急冷)
SUS420J2
焼入れ(1050℃/急冷)
焼入れ(1050℃/急冷)
SUS440C
焼入れ(1050℃/急冷)

Photo 1顕微鏡組織(500倍)

5.耐食性

5.1 硬度と孔食電位の関係
5.2 耐孔食性(3.5%NaCl)